乱流と空力音

■ 乱流と空力音
 
 
 流れの状態を大きく分けると,層流と乱流に分けられます.
 
 空力音に関する文献を見ると,”乱流が音源となる”といった類の表現が
 散見されます.
 
 乱流とは何でしょうか?
 
 乱流とは・・・乱れた流れ・・・層流以外の流れの状態を全て乱流と呼んで
 います.
 
 乱流とは・・・すなわち・・・渦です.
 渦とは,流体要素が自転している状態です.目に見える大きな渦とは定義が
 違います.
 
 コーヒーカップの中でクリームがきれいに渦を巻くとき,それは層流渦です.
 自転運動はしていないので,流体力学的な渦とは違います.
 
 
 流れが乱れたところは,そこで必ず流れが自転運動をしています.つまり,
 流体力学的な渦が存在するわけです.
 
 そのような渦が集まって乱流という流れの状態を形成しています.
 
 性質の同じ渦は寄り集まって一つの大きな乱流渦を形成します.
 
 例えば,レイノルズ数2000以上の円柱の後方に形成される渦列がそう
 です.この渦列はカルマンの渦列とは似て非なるものです.
 (詳しくは ■音を誘起する渦 を参照ください.)
 
 

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空気について

■ 空気について
 
 
 空力音を扱うとき,忘れてしまいそうなのが空気です.
 
 空気とは,なんでしょうか?
 
 
 O2ですね.それにHeとかいろんなものが混ざって空気を形成しています.
 
 空気がないと流れも空力音も発生しません.伝播もしません.
 流体力学において空気は連続体と定義されています.
 
 連続体とは,つまり,均質な状態が連続的につながっていると仮定できる
 ということです.
 
 空気は,連続体です.
 
 歩いているとき,いきなり空気のない真空スポットに出くわしたことは
 ありませんか?
 
 
 ありませんよね!
 
 
 それが連続体の意味です.
 
 
 流体力学において,『音』は流体中を伝播する微笑な撹乱である,と定義
 されています.
 
 
 空気の分子と分子は,分子間力で結合をしています.
 分子同士がバネ結合していると置き換えて理解することもできますね.
 
 ですから,『音』(=微小な振動)が伝播できるんです.
 
 
  

はく離泡とは?

■はく離泡とは?
 
 
 はく離泡という表現があります.
 
 例えば,翼前縁で流れがはく離すると,そこで渦が発生します.
 いわゆる,はく離渦と表現されますね.
 
 そのはく離渦は,流れていってまた翼表面に再付着します.
 
 流れは基本的に非定常ですので,はく離渦の大小や再付着点も時間的に変化
 するわけです.
 
 それを時間的に変わらない状態で観察しよう,ということで時間平均をとり
 ます.すると,下図のように表現できますね.




 赤と青色の線が流線になります.赤色の流線は境界層を表現しており,例え
 ば,主流の99%の流速を示す位置となります.
 
 このような境界層厚さの定義は,主流の99%のほかに排除厚さや運動量厚
 さの定義があります.
 
 この赤い色の流線をはく離線とか,分離流線と呼ぶこともあります.
 
 
 さて,赤色の内側,薄いピンクに塗りつぶした領域がありますね.
 
 これは,境界層がはく離した内側の領域です.流れが遅く,平均流は渦を巻
 いている部分です.
 
 この領域が ”はく離泡” と呼ばれることがあるのです.
 

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みかけの音源と真の音源

■ みかけの音源と真の音源
 
 渦の周波数と空力騒音の周波数 にも書きましたが,空力音は渦の運動の
 結果として発生します.
 
 音は音圧の微小な変動ですから,音が発生するにはどこかに音圧を変化さ
 せる源(=音源)があるわけです.
 
 マッハ数0.3以下で支配的な二重極音の場合,渦の運動の結果として
 そんな音源が生まれてしまいます.
 
 ですから,渦と空力騒音は密接な関係にあります.
 
 そして,渦には正と負があります.
 ですから,音源にも正と負があるんです.
 
 さて,そのような音源は”みかけの音源”と表現されることがあります.
 
 流れの中の渦によって作りだされたものですからね.
 
 では,”真の音源”は...
 
 
 そう!  渦  ですね.
 
 
 それじゃーどんな渦でも音源を作り出せるのか??????
 
 これが謎です.(きっぱり)
 
 
  ※ ここでいう渦とは乱流渦のことです
  

共鳴騒音

■ 共鳴騒音
 
 これまで,渦が空力騒音を引き起こすと説明してきました.
 しかし,渦があると必ず空力騒音が発生するのかいうと,そうでもありま
 せん.
 
 これは,発生しているのかもしれないが我々には聞こえない,という意味
 です.
 
 しかし,空力騒音が発生しているところには必ず渦が関係していると考え
 られます.
 
 ここで,共鳴騒音を取り上げましょう!
 
 共鳴騒音というと何を思い出すでしょうか?
 
 少し詳しい方なら,ヘルムホルツ共鳴を思い出すでしょう.
 さらに詳しい人はキャビティトーンでしょうか?
 もっと詳しい人は,縦笛でしょうか?
 
 流体音工学 を読んだ方なら,口笛も共鳴騒音ですよね!
 
 ヘルムホルツ共鳴とは,容積型共鳴とも言われますね.
 ビール瓶の口の上に唇をつけて吹くと,”ボォ〜”と鳴る!あれ!ですね.
 このボォ〜っという音の周波数はビール瓶の容積で決まります.
 
 容積が変われば,音の周波数も変わります.
 
 口笛もヘルムホルツ型共鳴ですから,口の形を変えると発生する口笛の音が
 変わるでしょ?
 
 このヘルムホルツ共鳴って,渦が関係していなんじゃない?
 
 いえいえ,そんなことはありません.
 
 瓶の口の部分を詳しく見てみましょう.左から,”ふうぅー”と吹いたと
 しますね. 

 瓶の口の上には瓶の口にあたった流れから渦が発生します.ホントはこの渦は
 絵のようにきれいな渦ではありません.
 
 恐らく有象無象の大小様々な渦が発生しているはずです.
 

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電線の空力音

■ 電線の空力音
 
 天気の良い日.太陽が眩しくて,つい伏し目がちで歩いてしまいます.
 でも,少し上を見上げてください.
 
 電線が見えますよね!  楽しいですね!(^-^)ニコ
 
 特に,太めの電線に注目します.
 太めの電線には,なにやら細い電線が巻きついているのがわかりますか?
 
 絵で書くとこんな感じです ↓↓↓↓↓
densen.gif
 
 何故,このようにスパイラル状に電線が巻きつけてあるのか?
 
 実は,電線から発生するエオリアントーンを防止するためなのです!
 
 ご存知のように電線は,ツルッとした滑らかな表面を持つ円柱です.
 しかも,相当に長い円柱です!
 
 この電線から風の強い日には,エオリアントーンが発生します.
 このエオリアーントーンは,細い枝や丸い鉛筆をすばやく振り下ろした時
 ”ヒュッ”と音が出ますよね!あれと同じ原理で発生するんですよ.
 
 細い枝や鉛筆は短いので発生する音もそれほど大きくはありません.
 しかし,電線は長いのです!長い電線の全てから音が発生するので大きな
 音圧となってしまいます.
 
 そこで,スパイラル状に細い電線を巻きつけて音の発生を防止しています.
 何故,スパイラル状に巻いた電線がエオリアントーン発生を防止するのか?
 


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狭帯域騒音と広帯域騒音

■ 狭帯域騒音と広帯域騒音 Narrow band noise and Broad band noise
 
 これまで,渦が圧力を発生させ,それが音になる.
 http://kurikisouon.blog7.fc2.com/blog-entry-9.html
 
 音の周波数=渦の周波数
 http://kurikisouon.blog7.fc2.com/blog-entry-17.html
 
 ということを説明してきました.
 
 これをちょっと具体的にみてみましょう.
 
 
 例えば,エオリアントーンとは円柱から発生する渦列によって
 発生します.
 
 その音の周波数は渦発生の周波数と一致し,ストローハル数0.2付近
 になります.
 
 ストローハル数 St=fd/u とは無次元化した周波数のことです.
 
 円柱から発生する渦列のストローハル数(無次元周波数)が0.2というのは
 有名な!否定しようもない!事実ですよね.((((((^_^;)
 
     ストローハルというのは,学者さんの名前です.この現象を始めて
     研究した研究者とのことです.円柱の直径・流速によらず,fd/u と
     いう形で無次元化するとほぼ0.2という値で一定になります.
     
     四角柱や三角柱でも0.2付近のある値で一定になります.
     
     何故?0.2なのか?・・・不明です.どなたか研究してください.
 
 円柱のストローハル数やロックイン現象という言葉は,高速増殖炉「もんじゅ」
 の事故で記憶にある方もいるのでは...
 
 
 
 さて,このエオリアントーンは,非常にピーキーな音です.
 
 例えば,直径10mm,主流15m/sの場合,ストローハル数 St=fd/U
 から逆算して,音の周波数は f=300Hz となります.
 
 この場合エオリアントーンは 300Hz の純音に近いピーキーな音として発生します.
 
 このようにある特定の周波数のみの騒音の場合,狭帯域騒音に分類できます.
 
 つまり,300Hz の渦が発生し 300Hz の狭帯域騒音が発生するわけです.
 
 
 では,渦発生の周波数がバラバラで 100Hz から 5000Hz まで
 色んな周波数の渦がまんべんなく発生したら?
 
 ・・・・・
 

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