フィルムケースの空力音?

ご相談を受けた内容なんですが,とても面白いので私も調べてみました.
フィルムケースを使って,いろんな音がだせるそうなんです.


ネットで検索してみると・・・

▽フィルムケースのオカリナ
 http://fun-science.blog.ocn.ne.jp/omosiro/2008/02/2_00ff.html

▽フィルムケースのブンブン
 http://ohoshisama.info/instrument/03film.htm

などが見つかりました.


おぉ〜〜〜〜〜〜〜〜!なんか知らなかった世界に出会ったような驚きですね.
ご相談いただいたOさんに感謝です.ありがとうございます.


さてさて・・・


それでは,空力音の発生するメカニズムについて考えてみましょう.
まず,フィルムケースのオカリナです.


これは,縦笛と同じような原理と思われます.
すなわち,ストローから吹出した細い空気の流れが,フィルムケースのスリット
のエッジに衝突します.


薄いエッジに流れが衝突するとエッジトーンが発生します.


そして,フィルムケース内部の空間で共鳴します.


縦笛の場合は気柱共鳴ですから,抑える穴の位置を変えると共鳴周波数が変化
して発生する音が変化します.


フィルムケースの場合は,おそらくヘルムホルツ共鳴(空間の体積共鳴)だと
思います.


ふたの部分を手でふさいで,少しあけると音が変化するということですから,
ヘルムホルツ共鳴の首部に相当する部分の面積が変化して,共鳴する周波数
が変化するのでしょう.


発生する空力音の周波数,流速,エッジ後流の流速変動の周波数,空間のサイズ
スリットのサイズ,などを測定して検討すれば,はっきりさせることができる
でしょう.




さて,フィルムケースのブンブンですが,これはやっぱり,ヘルムホルツ
共鳴でしょうね.


ヒューンヒューンという空力音が発生するそうですが,これは流速が変化する
ことや向きによって音がでにくくなったり・・・ということが考えられます.


スリットのサイズのみを変えて,発生音の周波数が変わるなら,ほぼ間違いなく
ヘルムホルツ共鳴です.


なぜ?


他に考えられる空力音発生のメカニズムは,気柱共鳴,エッジから出る音,
フィルムケース自体の共鳴,取り付けた紐(ひも)からでる音が考えられますが
どの空力音もスリットのサイズとは無関係です.


ヘルムホルツ共鳴による空力音だけがスリットの影響を受けます.
ですから,スリットサイズを変えて検証実験をすることができますね.


しかし,人間が手で回すと流速の変動もあり,向きもかわるでしょうから,
発生する空力音も微妙に変化する可能性がありますね.


なかなか面白い題材です.(^^♪



  

無料相談3〜低騒音風洞について〜

(この記事は,Kさんから頂いた相談への回答を元にしております.Kさんの
 相談は,低騒音風洞の製作にあたって発生騒音を予測できる手法はないでし
 ょうか?という内容でした.Kさん,ありがとうございました.)


残念ながら,ノズル吹出し気流の流速から発生騒音を見積もる簡易予測式のよ
うな資料は手元にありませんでした.


それと,低騒音風洞を計画するにあたっては,やはり流体音工学が一番まとま
っているようです.

P148〜P151,そして,付録の低騒音風洞の具体的設計例がとても参考
になります.


また,風洞内部に設置するスプリッタ型サイレンサーとしては,(株)ササク
ラのQuietダクトサイレンサーシリーズがお奨めできます.流れに対する
減音特性や圧損がキチッと調べられており,カタログに公開されています.
ホームページはこちらです. → http://www.sasakura.co.jp/



なお,比較的参考になる資料として以下の文献を紹介します.



【資料1】--------------------------------------------------

 論文タイトル
   低騒音風洞の性能向上
   第1報 計測部暗騒音の音源分析


 著者
   丸田 芳幸,御法川 学
  
 出典
   エバラ時報,No.171(1996-4) P16-P24


【資料2】--------------------------------------------------

 藤田先生の論文(下記URLでダウンロードできます)

   空力騒音の理論的な背景を知る参考になるでしょう.
   低騒音風洞としては,あまり参考にならないかも・・・
   http://www.nagare.or.jp/nagare/21-5/21-5-t01.pdf


【資料3】--------------------------------------------------

 鉄道総研の低騒音風洞に関する資料

 タイトル
   大型低騒音風洞設備の紹介

 著者
   近藤 善彦,鈴木 実,豊福 勝也,河合 一男,山口 進作

 出典
   自動車技術,Vol.54, No.6, 2000. P26-P31



以上,参考にして頂ければ幸いです.


なお,どなたか『ノズル吹出し気流の発生騒音の予測について』アドバイス
できましたら,コメント・メールなどでお願いいたします.
  

無料相談2〜『カッキーーン!』〜

■ 無料相談2〜『カッキーーン!』〜


(またまたHさんから頂いたメールへの回答を元にしております
 Hさん,ありがとうございました.)


ピッチャー,振りかぶって第一球...投げましたぁ!!

『ピューーーーーーーー』


バッター松井・・・狙い済まして・・・打ちましたぁ!!

『カッキーーーーン!!』


これは擬音ですよね.『ピュー』『カッキーン』
漫画の世界でよく使われます.((((((^_^;)

この擬音を現実世界で再現できるでしょうか??
しかも空力音を利用して・・・

(まったく,Hさん面白いこと考えますね...(>_<) )


『ピュー』も『キーン』もボールが飛んでいる様を表現していますよね.

まず,この周波数を2kHzと仮定しましょう.

次に,ピッチャーの投げるボールは 130km/h=36m/s とします.
バッターが打ったボールは,約2倍の 70m/sで飛んでゆくと仮定します.


以上の条件で2kHzの空力音を発生するキャビティを考えてみましょう.

  キャビティの幅=音速/周波数・(1/2)
 
で見積もると,幅は85mmとなります.

  ボール上に再現できないキャビティの幅です!(>_<)



では,ボール内に通し穴を設けて気柱共鳴を利用する手段はどうでしょうか?

両端開放の気柱の場合,野球ボールの直径を60mmとすると,

  1次共鳴周波数=音速/波長

で計算すると,なんと 2833Hz です!

これは,可能性がありますよね.

実際に音がでるかどうか? は実験する必要がありますが,空力音の知識で
このような机上検討&ケースの絞込みが可能です.



さらなる,アイディアとしては,表面に沿う方向のスリットを設けて隙間風音
を発生させることも考えられますね.


隙間風音の発生周波数は....これも 流体音工学 でわかります.


  

無料相談1〜『疾走感のある音』〜

■ 無料相談1〜『疾走感のある音』〜


(本内容は,Hさんから頂いたメールへの回答を元にしております
 Hさん,ありがとうございました.)


あなたは,『疾走感のある音』を空力音で作り出すことができると思いますか?
ちょっと面白い検討ですね.一緒に考えてみましょう!

先ず,”疾走感のある・・・”というのは人間の感覚ですね.各人の主観に
大きく左右される感覚量です.

世の中には,”疾走感のある音とは○○だ!”...という定義はありませ
んから,どのような音が疾走感があるのか?調査し決定する必要があります.

このような感覚量を決定するときに,よく使われる手法が人間工学的手法です.
つまり,疾走感に関係しそうな因子を列挙し,その因子を変更した音を被験者
に聞いてもらい,どの因子が疾走感に関係するのか決定するのです.

そうすると,どのような特徴をもつ音が疾走感を感じさせるのか?がはっきり
しますよね.

この段階までできれば,目標とする『疾走感のある音』が明確になりますので,
あとはそれを実現する空力音発生装置を作るだけです.

例えば,笛などの管楽器も立派な空力音発生装置です.人間の吹き出す空気の
流れで空力音を発生させ,それを管の中で共鳴させます.穴を指でふさぐと,
共鳴周波数が変化しますので,笛の発生音が変化するという仕組みです.

円柱から発生するエオリアーントーンも制御しやすい空力音ですね.
それにキャビティトーンやエッジトーンなども発生メカニズムが知れています
ので,制御しやすいでしょう.


以上のように考えてゆくと,『疾走感のある音』を空力音で作り出すことは,
可能であろうと思われます.

あなたは,どう考えますか?      相談受付はこちらまで!カチッ!
  

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