2008 第36回 可視化情報シンポジウム

2008 第36回 可視化情報シンポジウム に参加しました (2008年7月22日)

今回は,「自動車の現場から」というオーガナイズドセッションが開催されました.
自動車業界の各社から多くの事例が発表されました.

自動車というのは実学の分野ですから,可視化に関しての新たな研究例と
いうよりは,適用例が多くなるわけです.


やはり,CFDを活用した研究例がおおいですね.
CFDを活用して空力騒音を発生する流れ場を可視化するというパターンです.

CFDでは,数千万規模の大規模メッシュの事例が発表されました.
車両全体を解析しています.床下もできるかぎり表現してLES計算しています.

やはり,CD・CLの精度を求めてゆくと,メッシュの大規模化と床下の精緻な
表現は必須でしょうね.

私の最大興味は,飯田先生(豊橋技科大)と加藤先生(東大生研)の共同による
「異音の発生に影響をおよぼすドアミラー表面の流れの可視化」
です.

ドアミラーハウジングとミラーカバーの段差から発生する空力騒音について
風洞実験・油膜法やCCDカメラなどによる可視化などで調査研究しています.

面白いですね.こういう研究は!自動車開発の現場では,この段差部分から
空力騒音が発生すること,段差をなくすと空力騒音は発生しなくなることが
数年まえからわかっていました.

私も以前に調べたことがあります.当時のそのドアミラーは実車速120km/h以上
で空力騒音を発生していました.

風洞でも調べました.およその発生メカニズムは予測できたのですが,
現場では,原因よりも対策を求められることがしばしばあります.

発売日が決まっていますから,なにがなんでも対策しろ!ってなわけです.
ですから,可視化もなにもできなかったので,たぶん・・・こういうわけだろう
みたいなことを考えて,対策するんですね.


さて,現場では,測定機器不足もあり詳しく調査・研究することが難しいですね.
飯田先生と加藤先生のこの研究は,流れ場と空力騒音の発生を関連付けて明確に
してくれますので,とても有用です.

今より効果的で簡便な対策を考える材料になるわけです.
そして,その対策の強力な裏づけにもなってくれます.


(やはり,大学の研究というのはそれだけの威光があるんですね.
 自信をもってそういう,現場では不可能なすごい研究を続けて頂きたいです.
 大学の研究者の方々,よろしくお願いします.)






  

車室内空調快適性の最新技術

自動車技術 2008年2月号より

車室内空調快適性の最新技術 (Vol.62,No.2,2008 P.58-63)


自動車車室内の快適性は,振動・騒音・乗り心地・居住性,そして空調つまり
温熱環境が大きく左右します.

私の経験からざっくりと言えば,マニュアルエアコンの時代はその最大冷房
性能やマニュアルのコントロール性などが開発課題でした.

オートエアコンの登場とともに,乗員を温熱的に快適に保つという発想が
生まれ,快適性向上技術が発達してきたと言えます.

本号では,カーエアコンの国内トップメーカー((株)デンソー)の技術者
がその快適性向上に関する最新技術を論じています.


●シート空調システム
 
 空調吹出し口の空気温度がきめ細かに制御されるようになった.
 しかし,シート表面に関して,夏は暑く冬はつ冷たく不快という不満が
 顕在化してきている.
 
 シート内部を温調した空気を流してシート表面の微細孔から吹出して乗員の
 暑さやムレ感を軽減するシートが2000年ごろから採用されている.
 
 シート座面(クッション)には,扁平ブラシレスモータの遠心送風機,
 シートバックには,薄幅ブラシレスモータの軸流ファンを採用している.
 
 これらのファンは乗員に近いため,低騒音・低振動が強く求められる.
 
 
●マトリックスIRセンサシステム
 
 近年のオートエアコンは,内外気センサ,偏日射センサを用いてきめ細かい
 制御を実現している.
 
 左右席の独立温度コントロールから4席独立温度コントロール機能まで備え
 たエアコンもある.
 
 しかし,個々の乗員の温熱状態は推定しながら制御している.
 
 そこで,赤外線センサを用いて乗員の温熱状態を計測してエアコン制御に
 フィードバックするシステムが開発されている.
 
 赤外線センサの検知能力が問題となる.範囲や精度.
 このセンサで,乗員の状態をフィードバック制御することにより,従来の
 半分の時間で乗員を快適状態にすることができている.
 
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 検知能力が向上して,居眠りとか脇見とかが検知できるようになると良い
 ですね.その情報をフィードバックして,エアコンを急に冷たくするとか,
 声でアナウンスするとか,ますます自動車が安全になります.
 
 
 
  

自動車技術 会誌11月号より (2007年 Vol.61 No.11)


特集「自動車のエネルギー事情と新燃料技術」

最近,ガソリンが高いです.リッターあたり145円します.
とてもタイムリーな話題ですね.

アメリカで生産される原油供給が不安定だったり,先物市場で
原油への投機マネーが活発だったりと,原油高騰の原因は幾つか
あるらしいです.

もともと埋蔵量も限られているわけですか,早く石油を脱却する技術
が欲しいですね.


【天然メタンハイドレード資源化の最新研究動向】--------

著者:安田 優人 (独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構石油開発技術本部R&D推進部


●「燃える氷」などと話題になったメタンハイドレード

●水の分子が構成する格子の中にメタン分子が取り込まれた構造

●日本近海で,年間使用量の14年分にあたるガスの埋蔵が確認されている

●世界的にも,1990年代から資源化への活用技術の研究・開発が盛んになっている

●メタンハイドレード資源開発研究コンソーシアム
 http://www.mh21japan.gr.jp/japanese/index.html


(所感)

メタンハイドレードで走る自動車に乗りたいですね.

  

自動車技術 会誌12月号より (2006年 Vol.60 No.12)

特集「進化していく車の安全性能」


毎年,交通事故でケガや亡くなる方がたくさんいらっしゃいます.事故のない
交通社会というのは,自動車に関わるエンジニアにとっては『夢』のひとつで
すよね.ぶつかってもケガをさせない車とか,人間を検知して止まる車とか,
そういう技術が欲しいものです.
安全というのは自動車開発にとって最重要課題であり続けています.

第8次交通基本計画はこちら!
http://www8.cao.go.jp/koutu/kihon/keikaku8/index.html

【タイヤセーフティドライビングレッスン】--------

著者:江藤 尚美,久米 伸吾,原 健太郎 (株 ブリジストン)


●ハガキ4枚で車を支える
 ここに400kg以上の荷重がかかっています.

●パンクしても一定距離を走れるランフラットタイヤ
 パンクしても自力で交換できない障害者のために開発したのがはじまり.

●タイヤのトラブル27%
 JAFの高速道路での救援は,タイヤのパンク,バースト,エア不足が
 27%で1位.2位は燃料切れ.

●ブリジストンのタイヤセーフティプロジェクト
 ショップやスタンドにて「無料タイヤ安全点検実施中」でタイヤの安全点検
 をプロの目でサービス

●タイヤセーフティードライビングレッスン
 2003年9月から開始.新品タイヤとすり減ったタイヤ,適正空気圧のタイヤ
 と空気圧不足のタイヤ・・・などを比較試乗.安全で快適なカーライフの知
 識・体験を提供.女性の方やペーパードライバーの参加も多い.

 申込みは,  http://www.tiresafety.jp  からできます.

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(所感)

タイヤというのは,本当に重要です.家族の命を載せてるんですよね.
タイヤがパンクすると,車は走れません.それほどに重要なんですが,あまり
気を使わない・・・のも実際ですよね.消耗品でもありますし,ちょっとでも
安いものを買おうなんて行動もします.まぁ...それはいいとして・・・

ドライビングレッスンはおすすめします!普段の走行ではめったにお目にかか
れない・・・というか,お目にかかったときには事故!ってな状況を体験でき
ます.人間は一度体験しておくと,とっさに体が反応して回避できるようにな
ることが多いんですよね.本当の急ブレーキとか!スピンとか!とにかく体験
できるドライビングレッスンは,全てのドライバーに受けて頂きたいですね.


  

自動車技術 会誌11月号より (2006年 Vol.60 No.11)

特集「続・環境負荷物質を削減する」


環境負荷物質とは,2003年7月に施行された使用済み自動車に関する
EU指令によると,鉛・水銀・カドミウム・六価クロムをさします.
これらの物質は多くの自動車部品に使用され,耐久性・機能性・商品
性の向上に寄与しています.

さて,11月号で気になった記事を概観しましょう.

【自動車用バイオ燃料導入動向】--------

著者:後藤 新一,塩谷 仁 (独 産業技術総合研究所)


●バイオ燃料とは,バイオ,つまり生物資源由来の燃料のこと.

●バイオエタノールは,トウモロコシ,サトウキビ,小麦,大麦,テンサイな
 どから生産されます.ガソリンと混合してガソリンエンジンに利用します.
 2003〜2005年に産業総研にて走行試験が実施されたそうです.
 結果は自動車燃料として適用可能であるという結果が得られたとのこと.
 
 ブラジル・米国での利用が多いそうです.

●バイオディーゼル燃料とは,バイオ由来の油脂を化学処理して得られる燃料
 のこと.菜種油,ひまわり油,パーム油,大豆油が原料となっています.
 産業総研は,タイ国立研究所と共同でパーム油系バイオディーゼル燃料の研
 究を行っているとのこと.
 
 バイオディーゼル燃料の利用に関しては,欧州,米国,豪州,ブラジルが先
 進的だそうです.

●日本では,京都で取り組みが進んでいます.ゴミ収集車の100%がバイオ
 ディーゼル燃料です(220台).市バスも95台がバイオディーゼル燃料を利用
 しているそうです.

●バイオ燃料は,今後,政策的に導入が進められ,法整備も進みつつあります.
 京都議定書の発効に伴い,その重要性は増しております.
 今後,バイオ燃料の製造技術,適用技術の開発が急務と考えられます.


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(所感)

石油に代わる燃料が求められ続けていますね.自動車はこれから,電気自動車
へと歩みを進めてゆくのでしょうが,その電気をどうやって手に入れるか?

この部分で様々な工夫・試みがなされているんですよね.良く知られているも
のが燃料電池・太陽電池など.燃料電池のための燃料としてバイオ燃料が利用
できれば,石油から脱却できるんでしょうね.

最近,散歩していてパナホームの住宅を拝見しました.なんと,燃料電池を備
えてるんですよ.びっくりしました.


  

自動車技術 会誌7月号より (2006年 Vol.60 No.7)


特集「乗心地を支える最新技術」


7月号は自動車の乗り心地について,サスペンション・ボディー・シート・タ
イヤ,そして評価技術など様々な面から特集されています.
気になる論文を取り上げてみましょう.


【車両開発における乗心地と他性能の両立に向けた取組み】--------

著者:坂田 哲心,波頭 伸哉(日産自動車(株)先行車両開発部)


●乗心地に影響する振動的な現象を周波数軸で分類すると,低周波数域ではフ
 ワフワ振動やヒョコヒョコした振動,高周波数域ではブルブルあるいはビリ
 ビリした振動があげられる.

●それらの乗心地は,低周波数域で操縦安定性,高周波数域で振動・騒音性能
 と相反する性能となっている.

●乗心地と操縦安定性との両立
 ショックアブソーバ
 内部流路を工夫することにより減衰力を可変にし,乗心地と操縦安定性の両
 立を図っている.

 サスペンション
 流体封入式ブッシュの採用やサスペンションジオメトリ(ホイールセンタ軌
 跡の後傾化)の工夫により両立を図る事ができる.

●乗心地と振動騒音性能の両立
 エンジンマウント
 エンジン振動を抑えるようエンジンマウントの剛性をあげると乗心地は良く
 なる.しかし逆に,アイドル振動,加速時の振動騒音が悪化する.
 そこで,流体封入式エンジンマウントにより両立が図られている.

●車体での両立技術
 車体剛性をあげると,ダンピング性能やロードノイズも向上する.つまり,
 他の部品を乗心地優先にできるようになるため,車体剛性のコントロール
 も両立技術として重要視する必要がある.

●乗心地性能の評価技術
 人間の振動感度(ISO2631-1)や感覚を考慮した評価体系の構築が必要.
 さらには,路面粗さを考慮した評価技術もグローバルな市場に対応するため
 には重要である.

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(所感)

サスペンション,ブッシュ,マウントなどに流体(オイル)が使用されていま
す.一見すると,流体が関係しないように思える自動車の『乗心地』や『振動
騒音』にも流体は重要な役割を果たしているんですね.

乗心地というのは,とても主観的な感覚です.これを客観的,あるいは統一的
に評価する方法はまだ確立されていません.

日本における自動車の歴史は50年を超え,これらからは多くの分野で人間の
感覚を評価するという技術の必要性が高まってきていますね.



  

自動車技術 会誌6月号より (2006年 Vol.60 No.6)


特集「クルマの新しい創り方」


今回は,主に新車開発の現場におけるデジタル技術を活用した新しいクルマ
の創り方を特集している.気になる記事について,まとめてみよう!


【VR技術の現状と自動車産業への応用】--------------------

著者:廣瀬(東京大学情報理工学系研究科)


●VR(ヴァーチャルリアリティ:人工現実感または仮想現実)という言葉
 は,1989年に初めて登場しました.

●米国VPLリサーチ社の開発した”未来の電話”RB2システムの説明で
 初めて使用されました.

●ゴーグル型のヘッド・マウント・ディスプレイにて,計算機の中のシミュレ
 ーション世界が,あたかも眼前に存在するように直感的に体験できるという
 たいへん革新的な技術です.

●これまでは,計算機の創出した世界をディスプレイという小さな窓を通して,
 覗き見ることしかできませんでした.

●VR技術は,人間がシミュレーションの世界に没入することを可能にしまし
 た.位置計測や手指の動き計測と連動し,VR世界とのインターフェースも
 可能です.

●VR技術の最初の応用先となったのが,シミュレーションの可視化です.
 CFDの計算結果をVR技術で表現する仮想風洞です.

●VRによるインタラクティブな可視化は,試行錯誤を可能にします.つまり,
 VRは「思考のためツール」なのです.

●VR技術に「五感の技術」を取り入れることにより,建築分野や自動車分野で
 居住性や使用性など空間的な検証も可能になるでしょう.

●ウェアラブルコンピュータ,高精度なGPS技術,各種センサ技術との融合
 により,屋外でのVR技術の利用が可能になるでしょう.

●1989年誕生以来,15年.モバイルPC,携帯電話,パーソナルGPS
 などの要素技術が登場.第2世代のVRを研究・構築する時期なのでしょう.


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(所感)

実際に利用可能なVR技術が発売され,流体可視化ソフト Fieldview もVR
技術を取り入れ,仮想風洞が一企業レベルで可能な状況となっています.

Virtual を辞書で引くと,「事実上の,実質上の」という意味が本来
の意味であることがわかります.

「仮想現実」と訳される Virtual Reality ですが,精度を向上し五感と融合
したときには,事実上の現実!

本当の現実と区別がつかなくなります.

そんなVR技術が屋外で利用可能となる? 私達の世界にまさにマトリックス
がやってくるのでしょうか?

『空を飛んでみたいと思います.(^^ゞ』



  

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