■タイヤの空力騒音

■タイヤの空力騒音


タイヤの騒音と聞くと,あなたは何を思い出しますか?
私は,高速道路を走ったときの「ゴォーーーーー」という音.


アスファルトの種類によって,「ゴォーーーーー」だったり「コーーー」
だったり,音の大きさが変わりますね.静かな道路ってあるじゃないですか?


専門的にいいますと,タイヤの騒音は


ロードノイズ・・・道路の凹凸が入力となって車両ボディーが振動し騒音となる
パターンノイズ・・・タイヤのブロックパターンによってその中の空気が放出
          される時に発生する騒音.シャーという比較的高い周波数


があります.これに加え,近年は,タイヤの中の空間内で共鳴騒音があると
いわれていました.流体解析を行った事例が自動車技術会でも何度か発表されて
いましたね.


タイヤ空洞共鳴音・・・道路段差や継ぎ目で発生する「バヵンンン」という
           残響音のある騒音


実は,この残響音というのが共鳴音かどうかのひとつの目安となります.


なので,タイヤの空力騒音というと,パターンノイズと空洞共鳴音の2種類
あるということになります.


で,このタイヤ空洞共鳴音の低減に成功しました!というのがこちら!


▽ ダンロップ 吸音スポンジ搭載タイヤ
  http://www.sponge-tyre.jp/


空洞共鳴というのは,空洞の体積や形に左右されます.
このことは,ヘルムホルツ共鳴の式をみれば明らかですね.


さらに壁が剛な壁か柔な壁かでも大きく違います.
もちろん,柔な壁のほうが騒音には有利です.


通常,スポンジを吸音材として使用する場合,独立発泡のものを使います.
そちらのタイプの方が吸音・遮音の効果が高いからです.


▽ スポンジの発泡は2種類
  http://www.narudan.co.jp/hapousuponji.html


さて,スポンジをタイヤの内部に貼り付けるというなんとも安易な・・・
あっ!いえいえ!・・・高度な対策を施したわけですが,恐らく・・・


ロードノイズも減ってるんじゃないでしょうか.タイヤ自体の剛性も変わり
タイヤという素材がもつ共鳴も変わると,ボディーに伝播する振動自体が
変化してロードノイズが低減されるということは,十分考えられます.


また,段差騒音もじつのところ,その段差が入力となって車両ボディーを振動
させることによって発生する部分もあることが否定できません.


どちらにしろ,タイヤ自体の発する空力騒音が低減できていることは疑うつもり
はありません.対策を実現したということは賞賛に値します.


加えて,ボディーへの振動伝播も減っている事でしょう・・ということなので,
すごく静かなタイヤになっていると思います.


あなたの車,ロードノイズが大きいんだよね・・・という方には試す価値あり!
でしょうね.

(ちなみに,ダンロップさんの宣伝になってしまいましたが,何も頂いておりません.
 なので,私が本当に考えている通りの内容です.)

  

ウィンドスロッブ音

■ウィンドスロッブ音
 
 50〜60km/h以上で走行中に窓あるいはサンルーフをあけると,
 ボッボッボッ・・・という非常に大きな音圧の息継ぎ音が発生します.
 
 これをウィンドスロッブ音といいます.鼓膜やひどいときは体をも揺れ
 動かすくらいの大きな音圧を発生します.
 
 サンルーフを開けたときに発生するウィンドスロッブは,開けた量(寸法)
 などによって音の大きさが変化します.発生する音の周波数は車速によっ
 て変化はしません.一定です.
 
 車速によって変化しないことから,流れの変動が直接的原因ではないこと,
 一定であることから共鳴であることが予測できます.
 
 現在では,サンルーフや窓の開口部で発生する流れのはく離変動が引き金と
 なって,その変動が車室内の共鳴周波数に共鳴して発生する騒音がウィンド
 スロッブ音であると考えられています.
 
 その部分の流れを大きく邪魔する!あるいは,窓を閉めるなどによりウィン
 ドスロッブ音は発生しなくなります.
 
 しかしながら,自動車のデザインや商品性を損なう対策ばかりであり,現実
 には非常に対策の難しい空力騒音問題の一つです.
 
 
  

自動車の流体力学

■自動車の流体力学
  
 このタイトルにピッタリのとても良い論文を見つけました.
 その名もずばりです!
 
 『自動車と流体力学:車体周り流れと空力特性 』
     トヨタ自動車 炭谷・前田・一之瀬 共著
 
 日本流体力学会のホームページに掲載されております.
 学会誌がWEBで閲覧できるようになっており,
 
 ▽ 日本流体力学会 学会誌のページ
   http://www.nagare.or.jp/nagare/nagare_index.html
 
 
 第23巻6号にてPDFファイルを見ることができます.
 
 ▽ 第23巻6号
   http://www.nagare.or.jp/nagare/23-6/23-6.html
 
 自動車に関する流体力学的な諸問題の全体像を知ることができます!
 そして,著者の専門である風切音についても概説があり,一見の価値ありです!
 
 『自動車と流体力学:車体周り流れと空力特性 』
     トヨタ自動車 炭谷・前田・一之瀬 共著
  http://www.nagare.or.jp/nagare/23-6/23-6-s02.pdf
 
 
  

吸出され音

■吸出され音
 
 自動車に特徴的な空力騒音問題に吸出され音があります.
 これは自動車走行時に車室内の空気が車外に吸出され,そのとき”ピュー”
 という音が発生し問題となるものです.
 
 なぜ車室内の空気が車外に吸出されるか?というと,走行時には車両表面の
 圧力が車室内の圧力よりも低くなるからです.
 
 圧力差によって空気が吸出されるわけです.
 
 基準圧力(大気圧)よりも車両表面の圧力が低くなるので,『負圧になる』
 と表現します.
 
 なぜ圧力が低くなるのか?
 
 これはもう,ベルヌーイの定理を思い出していただければ納得でしょう.
 
 問題は,空気が吸出されるときになぜ音が発生するのか?ということですね.
 
 自動車の吸出され音は,主にドア周りで発生します.ドアとボディーの隙間
 を空気が比較的高速に流れるとき,音が発生します.
 
 つまり,隙間風!   なんですね.
 
 あなたの自宅のサッシ窓でもピューピュー音がしませんか?
 
 自動車の吸出され音というと難しそうに聞こえますが,要は隙間風の音!
 
 なんです.隙間の幅,そこを通る空気の流速に発生音の周波数は比例します.
 
 さて,自動車吸出され音の対策は,,,これはもう,隙間を無くする!!
 
 これ以外にありません!
 
 
 ”車に隙間なんてあるの?”  って思いましたか?
 
 
 これもベルヌーイの定理です.車両周りが負圧になるのでドア自体が吸出さ
 れてしまうんです.そして,なかったはずの隙間ができてしまいます.
 
 この辺りが,実際の自動車開発で難しいところなんですね.
  

ドアミラー風切音とAピラーとの関連性

■ ドアミラー風切音とAピラーとの関連性
 
 ドアミラー風切音とAピラーとの関連性については,検討例がほとんどない.
  
 Aピラー周りの流れに関する一般的な知見からドアミラー騒音とAピラー
 との関連性について考えてみよう.
 
 まず,ピラー周りには縦渦と呼ばれる大規模な組織渦が形成されることが
 知られており,ピラー傾斜角によってはその縦渦がドアミラーにぶつかる
 ような流れ場が形成されるであろう.
 
 従って,ピラー傾斜角が大きい(立っているピラー)場合には,ピラーから
 の縦渦がドアミラーに衝突するような流れになるため,一般的にドアミラー
 騒音は大きくなると考えられる.
 
 この場合,ドアミラー全体を車両前方に出す,または下方に下げるなどが
 効果的な対策となってくる.
 
 また,ピラー傾斜角が小さい(寝ているピラー)場合には縦渦はドアミラー
 には衝突せず,したがってドアミラー騒音とAピラーとの関連性が薄れるの
 ではないかと考えられる.(以上もあくまで推測であり,詳細な検討はまだ
 なされていないようである.)
 
 また,ピラー諸元(傾斜など)によってドアミラー周りの流れは
 どのように変わるのか,それによって騒音はどうなるのか,相互作用は
 あるのか等,不明な点も多数あり今後の検討課題であると考えている.
  

ドアミラーの空力騒音

■ 自動車ドアミラーの空力騒音

 自動車のドアミラーの空力騒音は,どのように発生するのか?
 以下のように考えられています.

 まず,ドアミラーバイザーの後端で流れがはく離し,大小様々な渦が
 発生する.

 それらの渦がドアミラー本体やサイドガラス表面に圧力変動を誘起する.

 そして,その圧力変動が音源となって空力騒音が発生する.

 以上が,現在最も一般的な発生メカニズムの説明です.


 これに対し,ドアミラー空力騒音を低減するための方策は?

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空力騒音を小さくする

■ 空力騒音を小さくする基本的考え

 空力騒音を小さくするには,はく離のない流れを形成することが基本と
なります.

 例えば,形状が変化する場所には流れ方向から見て大きなRを設定する
ようにするなどの必要があります.

   自動車の場合,Aピラーやレインガター高さなど様々な個所に
  実験的に決定された推奨値が設定されています.

 その他の手法として,はく離剪断層が再付着しないようにするという方法
も考えられます.

   これは,自動車ドアミラーの形状要件に応用されており,
  ドアミラー本体をサイドガラスから離して設定するなどしています.


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